図書館は学生生活の大半を過ごす場所。
Wim Wendersの映画、ベルリン天使の唄(Der Himmel über Berlin)の影響もあり、図書館と言えばポツダム広場の国立図書館(Staatsbibliothek)と決まっていた。
本の館外持ち出しが出来るのもこちらだけ、机も相当な数があり席にあぶれる事も少ないのでなにかと都合が良かったのであるが、時間が経つにつれどうも効率が悪い事に気がついた。
勉強中に見知らぬ人に話しかけられたり知り合いに会ったりと、結局机に向かう時間よりカフェでおしゃべりをしている時間のほうが長くなるのである。
そういえばSpiegelだったと思うのだが、国立図書館が学生達の「新しい出会いの場所」として注目を集めている、という内容の記事を随分前に読んだ事を思い出す。
ちょっと気になる人がいるとトイレや休憩ヘと席をたった隙に、素敵ですねとかなんとか書いた手紙を机の上へさっと乗せる。ほんの数行の手紙ならそれほど押し付けがましくもないから、貰ったほうとしても嬉しいのだろう。そわそわと周りを気にするその様子をみて、帰りがけにでもまた明日と声をかけるんだとか。
ソツなくコンタクトが取れるのと読んでいる本で専攻なども一目瞭然だから、とりわけ女性の攻勢が激しいらしい、と学生達のインタビューも交えて紹介されていたように思う。
ストイックな印象のある図書館も実はなかなかに生々しいのだなと、それ以来パソコン画面に疲れて顔を上げると、感慨深く机を連ねる学生さん達を見渡す癖がついたが、そんな人間ドラマの現場には、実際一度もお目にかからなかった。
ここ最近はウンターデンリンデンの国立図書館へよく足をはこぶ。
正面玄関前の中庭と噴水(写真)、ファサードに茂るワインの葉、入り口から二階へ続く階段、初めての訪問者は決して10分以内に受付にも辿り着けないだろう入り組んだ道程と大変不親切な内部構造が、昔懐かしい図書館という案配で最近は足を踏み入れるたびなぜか非常にホッとするのだ。特に天井の低い中二階は、地震があったら本に埋もれて死んでしまいそうな危うさがあり、実にたまらない。
ベルリンには各大学の中央図書館、学部図書館や市立図書館、教育史図書館なども数多く、学生生活の大部分を図書館で過ごす事にも飽きはこない。
但し延滞料金が一冊につき2ユーロなので、うっかり返却期限を忘れ4日後に気付こうものなら(多数の図書館から沢山借り込んでいるので、実はけっこう起こるのだ)2〜3千円を軽く超える出費となる。
誰もが一度は経験して歯がゆい思いをする、図書館貧乏への道である。
